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「人生の引退」を決めない生き方。生涯現役でいるための心のアプローチ

  • 執筆者の写真: seraphyroom
    seraphyroom
  • 2 日前
  • 読了時間: 6分
楽しく走る
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最近、ふと点けていたテレビで、100歳を過ぎた高齢の研究者の話題が目にとまりました。


白髪交じりの細い手で資料をめくり、生き生きとご自身の研究について語るその姿は、画面越しでも圧倒されるほどの生命力に満ちていました。


番組のなかでは、その方が「生涯現役でいる」という確固たる意識を持っていたことこそが、長生きや健やかな心身に繋がったのではないか、という内容が紹介されていました。


50代を迎えると、ふとした瞬間に体力の衰えを感じたり、親の介護や自身の老後の生活が現実味を帯びてきたりして、「これからどうなっていくのだろう」と老いへの不安が頭をよぎることも増えますよね。


「もうこれ以上、社会の荒波に揉まれて働きたくない」と、一線を退く日を心待ちにする気持ちも、ごく自然なものです。


しかし、あの100歳を超えた研究者の、まるで子供のように目を輝かせて「これをやるんだ」と机に向かう姿を見ていると、年齢を重ねることへの恐怖が、少しだけ和らいでいくのを感じたのです。



心理学では、実年齢とは別に「自分自身のことを今、どれくらい生き生きと捉えているか」という心の若さの指標を「主観的年齢(Subjective Age)」と呼ぶことがあります。


これは単に「心は20代のつもりでいる」といった、実年齢に対して無理に若さを追い求めるようなお話ではありません。


大切なのは、年齢という数字がいくつであっても、心の中に「私はまだ、自分の人生という舞台の現役プレイヤーなのだ」という確かな手応えを持てているかどうか。


つまり、どれだけ自分自身のことを、今この瞬間も生き生きと捉えられているかという、「心の持ちよう」のことなのです。


近年の心理学や公衆衛生学の研究では、この「現役感」とも言える健やかな意識こそが、私たちの体の細胞レベルにまで良い影響を与えることが分かってきているのです。



有名な方でいえば、105歳で亡くなる直前まで現役の医師として活躍され、数年先までスケジュール帳を埋めていたという日野原重明先生がいらっしゃいますよね。


先生はまさに、「年齢」という枠を飛び越えて、常に人生の新しい扉を開き続ける、驚くほどみずみずしい「現役感」をお持ちの方でした。


こうした著名人に限らず、たとえばSNSの世界を覗いてみると、一般の方でも素敵な「現役」の姿をたくさん見つけることができます。


腰が曲がり、歩く姿にはどう考えても不自由さがあるご高齢の方が、長年続けてきた小さな飲食店で、おぼつかない手つきながらも実に見事な手際で手作りのお菓子や食事を作っている動画が流れてきたりします。


画面越しに伝わってくるお料理はどれも本当に美味しそうで惹きつけられるのですが、それ以上に、培われてきた職人の動作を、衰えを感じる体でも全うしようとする強い意志に、思わず背筋が伸びるような、深い敬服の念を抱かされます。


また、それは必ずしも「仕事」という形でなくてもたくさんの選択肢があると思います。


「今年も見事なバラを咲かせよう」と庭の植物を熱心に育てること。


興味がある歴史の謎について調べようと、毎週のように図書館へ通うこと。


内容は人それぞれですが、年齢に関係なく、自分の中で「人生の引退」という線を引かないことが、大切なのではないでしょうか。



でも、ここで一つのシンプルな疑問がわいてきます。


「そうは言っても、体は生物学的に衰えていくもの。気持ちだけで長生きできるなんて、綺麗事ではないか?」と。


私たちはともすると、「老い=衰え」というマイナス面にばかり目を向けがちです。


そして、健康を維持するために義務感で運動をしたり、食べ物に気を配ったりと、物理的なケアばかりに行動を割いてしまいがちではないでしょうか。


もちろん、それらはとても大切なことですが、実は「心のアプローチ」がそれ以上に寿命を左右するという、驚くべき研究結果があります。


アメリカのイェール大学の心理学者、ベッカ・レヴィ教授らが行った高名な追跡調査によると、「老化に対して前向きな意識(=自分はまだ現役であり、成長できるという感覚)を持っている人は、老化をネガティブに捉えている人に比べて、平均して7.5年も長生きする」ということが明らかになったのです。


これは、禁煙や適切な運動がもたらす長寿効果(約3〜4年)を遥かに凌ぐ数字です。なぜ、意識がこれほど体に影響を与えるのでしょうか。


心理学には「エイジング・パラドックス」という言葉があります。


歳を取ると身体機能は低下するのに、幸福感や精神的な安定度はむしろ増していくという不思議な現象のことです。


「これをやるんだ」という現役意識や人生の目的を持っている時、私たちの脳内では心地よいワクワク感とともに、ドーパミンなどの神経伝達物質が分泌されます。


これが自律神経のバランスを整え、ストレスホルモンを抑え、結果として体全体の免疫細胞を活性化させたり、血管の老化を防いだりすることが生物学的にも証明されつつあります。「病は気から」という言葉は、細胞レベルで真実だったのです。



いかがでしょうか。


確かに私たちは皆、平等に歳を取ります。


その先の未来で、自分の体がどうなるかは誰にもわかりません。


しかし、ここで提案したい「現役感」とは、社会の歯車として身を粉にして働き続けることでは決してありません。


「私はこれが好きだから、一生楽しむぞ」


「この役割だけは、自分のペースで続けていこう」


そんな自分だけの小さな主導権、つまり「ライフワーク」を持ち続けることです。


ライスワーク(生計のための労働)を終えたあとに訪れる、あなただけのライフワーク。


それを持つことは、生物学的な衰えのスピードを緩め、何よりあなたの心をこれからの人生において、ずっと豊かに満たしてくれるのではないでしょうか。


未来の老いに怯えて守りに入るのではなく、今から少しずつ、自分が主役でいられる「小さな現役の舞台」を探してみる。


たとえば、昨日ニュースで耳にした直木賞を受賞した朝倉かすみさんは、65歳とのことでしたが、インタビューでの様子を拝見すると、これからも多くの作品を生み出していくというエネルギーに満ちあふれ、とても若々しく見えました。


今の私にとっては、目の前の方の心と向き合うカウンセリングの時間が、何よりかけがえのない舞台です。


そしてその先には、学んだ心理学の知見を物語という形に乗せて、誰かの心へ届けられたら……そんな夢を抱くことも、今の私を若々しく保つ秘訣なのかもしれません。


皆さんも、心の中に眠る『小さな現役の舞台』を、少しずつ準備してみませんか?



【著者:佐藤真理子】


公認心理師。


1970年八戸生まれ、盛岡育ち。


私のミッションは、自己理解と他者理解をほどいて、幸せな人生を送る人を増やすこと。


一人で抱え込みそうなときは、いつでもカウンセリングを頼ってくださいね。


このブログでも、少しずつ「心をほどくヒント」をお届けしていきます。


[カウンセリングのHPはこちら]https://seraphyroom.com

 
 
 

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