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「原っぱ」でカウンセリング?「場所」について考える~カウンセリングの窓から③~

  • 執筆者の写真: seraphyroom
    seraphyroom
  • 1 日前
  • 読了時間: 6分


現在、私はオンライン専門でカウンセリングを行っていますが(これには様々な理由があるのですが、長くなるのでまたの機会に)、開業当初から長年にわたって対面カウンセリングに携わってきた経験があります。


その双方の現場を経験してきた立場から、今回は「カウンセリングの場所」が心理面や効果に与える影響についてお話ししてみたいと思います。



「どんな場所で話したい?」と聞いたら…


カウンセリングスクールの卒業間近、先輩カウンセラーから「迷ったら身近な人にアンケートをとってみるといい」とアドバイスを受けました。


開業を控え、「自分のルーム(6畳ほどのお部屋)をどんな雰囲気にするか」とワクワクしながら、知り合いに「どんなところで話したい?」と尋ねてみたのです。


すると、ある友人から返ってきたのは、なんと「原っぱ」という答えでした。


「川のほとりのベンチで、風に当たりながら話したい」


ガチガチに先輩方の「カウンセリングルーム」を参考にしていた私にとって、この斜め上からの答えには「それはないなぁ~!」と本当にびっくりしました。


しかし同時に、「場所」が心に与える影響の大きさを再認識するきっかけにもなったのです。



「場所」と「枠組み(フレーム)」がもたらす意味


心理学やカウンセリングの領域では、面接を行う環境やルールのことを「枠組み(フレーム)」と呼びます。


この「枠組み」は単なる背景や作業スペースではなく、クライエント(相談者)が安心して心を開くための決定的な役割を果たしています。


特に「守秘義務が守られる静かな個室」という空間は、外の世界の刺激や雑音から守られた「安全なバウンダリー(境界線)」として機能します。


「ここでは何を話しても大丈夫だ」と感じられる環境があるからこそ、人は安心して心の内側に向き合うことができるのです。


これは、現在私が行っているオンラインの支援でもまったく同じです。


画面越しであっても、背景の選び方や服装への配慮はもちろん、「事前に『ずっと画面を見つめ続けなくても大丈夫ですよ』とお伝えしておく」「部屋の配置などご家族との位置関係を必要に応じて確認する」といった工夫を重ねることで、安心して過ごせる「枠組み」を画面のこちら側とあちら側に丁寧につくっています。



「原っぱ」や自然の中でのカウンセリングという可能性


「原っぱ」という答えに当時は驚きましたが、実は近年、自然のなかで行うカウンセリング(ネイチャーセラピーやアウトドア・カウンセリングなど)は、海外をはじめ日本でも少しずつ注目を集めているアプローチでもあります。


たとえば、フィンランド発祥の対話支援の枠組み「オープンダイアログ」などでも、時に屋外で、あるいは「焚き火」を囲みながら対話をするような試みが行われることがあります。


木々のざわめきや風の音、揺らぐ炎の温もり、そして開放的な空間は、人の緊張を緩め、五感をひらく助けになります。


室内では言葉にしづらかった思いが、歩きながら、あるいは静かに炎を見つめながらであれば自然と口からこぼれ落ちる、ということも珍しくありません。


「安全性の確保」や「プライバシーへの配慮」といった枠組みさえ工夫して構築できれば、自然の力を借りた非常に深みのあるケアの形として、十分に実現できる可能性を秘めています。



「いつもの場所」と「道のり」が持つ深み


一方で、「原っぱ」のような開放感とは対照的に、「いつも同じ場所、見慣れた空間」でカウンセリングを行うことにも非常に大きな意味があります。


  • 「いつもの部屋」がもたらすホーム感


    初めてお越しになる方には、あえて一度席を外し、ゆっくりと室内を見回す時間を作ったりしていました。慣れてくると、だんだんと相談者にとってその部屋が安全な「ホーム」になっていきます。


  • 「辿り着くまでの道のり」もカウンセリングの一部


    いつものカウンセラー、いつもの部屋、そしてそこへ向かう「いつもの道のり」。あえて郊外にルームを構え、「ここに来るまでの自然を味わう時間もカウンセリングの一部」と表現していた先輩もいました。カウンセラーのもとへ向かう時間そのものが、心を整える準備時間になっているのです。



カウンセラー側の「現実的な事情」と工夫


では、なぜすべてのカウンセラーが理想的な専用ルームを持てるわけではないのでしょうか。実はそこには、カウンセラー側の切実な事情もあります。


  • 物件確保と経営のハードル


    毎月の家賃負担は決して軽くありません。自宅で始める場合も、集合住宅の規約で禁止されているケースがあります。そのため、経営が安定するまでは「貸会議室」などを利用することもあります。


  • 街中のカフェやカラオケボックスは?


    喫茶店は雰囲気が良くても守秘義務が保てず、安心して泣くこともできません。カラオケボックスも心理的安全性には不安が残ります。貸会議室は公的な安心感がありますが、利用料や駐車場代など、経費面での工夫が必要です。


専用のお部屋を整えているカウンセラーは、そのための環境づくりに経費をかけて安心を買っていると言えますし、貸会議室などを選ぶカウンセラーも、その中でできる限りの努力と工夫を重ねています。



カウンセラーが「その場所」に込める気遣い


どんな場所であっても、カウンセラーが細やかな気遣いを宿らせていることに変わりはありません。


  • 涙を流したときのために、スッと手が届くようテーブルの下に配置されたティッシュボックス


  • ふっと視線を外しても不自然にならない、テーブルの上の小さな置きもの


  • 心理的な圧迫感を減らすための卓上カレンダーやレイアウト


対面での対話、オンラインでの工夫を凝らした対話、そして自然や屋外での対話――。


どれが唯一の正解というわけではありません。


「なぜ、そのカウンセラーはそこで話を聞いているのか?」


「どんな空間づくり・気遣いをしているか?」


そんな視点で「場所」を見てみるのも、ご自分に合った信頼できるカウンセラーを見極めるひとつのポイントになるかもしれません。


また、カウンセラーとしては、場所という「枠組み」が持つ力を知ったうえで、一人ひとりが自分らしく、そして目の前の相手に寄り添える「支援の形」を探していけたら素敵ですね。



【著者:佐藤真理子】


公認心理師。


私のミッションは、自己理解と他者理解を促し、幸せな人生を送る人を増やすこと。


一人で抱え込みそうなときは、ぜひカウンセリングをご利用ください。


このブログでも、少しずつ「心をほどくヒント」をお届けしていきます。


[カウンセリングのHPはこちら] https://seraphyroom.com



 
 
 

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