がんばる力をなくさずに、長く働くための4つの話②

第2回:「もっと良くできる」が止まらない――創造性や丁寧さが仕事を膨らませるとき
前回、「仕事の条件」と、「自分の能力」を切り離し、今の状態を俯瞰的に見ることで、現状の問題点を解決するヒントをお伝えしました。
今回は、個人的な側面に焦点を当てて、具体的な事例をお伝えしていきたいと思います。
これは、私自身の体験談です。
当時、私はある公共施設に勤めていました。
その施設が扱っているもの、訪れるお客様とのやりとりといった仕事そのものが好きで、「水が合うとはこういうことか」と思いながら、毎日充実感を覚えながら仕事をしていました。
ある時、県外の先進的な関連施設を視察に行きました。
私は、自前のカメラを持参し、たくさんの写真を撮りました。
出張後にはこれらの写真を添えて報告書を提出しようと、すでに頭の中でその完成形を描いていました。
そして、出張を終え、上司に回覧する出張報告書をこと細かに書き、それらの写真を添えました。
写真は、コンパクトなアルバムを添えたのではなく、わざわざ紙に貼って、どういう点がポイントなのか手書きで詳しく書き込み、私は自分のイメージ通りの報告書を作り上げました。
通常なら、早ければ翌日には提出できる出張報告書ですが、2~3日後の提出になったと記憶しています。
通常ならここまで手の込んだものは作成しない、という自覚はありました。
でも、私としては、「その場で見たかのように上司にも理解してほしい」という願いがあったのです。
なぜ、そこまでしたかというと、自分が勤めている施設をもっとよいものにしたい、という熱意からくるものでした。
そのためには、視察先との現状の違いを伝えなければ、と思ったのです。
今振り返ると、正式な報告書としては、もう少し簡潔で事務的なまとめ方のほうが、その書類の性格として適していたように思います。
若い頃の私は、好きな仕事に全力投球し、熱にうかされたような状態だったのかもしれません。
決して悪いことではありませんが、それは完璧主義とはまた違う、「通常の仕事」に「自分の想い」を上乗せした行為に近いようなものでした。
結果として、その内容がより詳しく伝わったかもしれないし、「ここまでの情報量は必要ない」と受け取られたかもしれません。
ただ、「仕事として求められている内容」と「そこにかける時間」のバランスを見る視点は、持っていてもよかったのだと思います。
そうした仕事の仕方も、私の残業時間が長くなる一因だったのだとわかるからです。
もちろん、私はこの丁寧さや「もっと良くしたい」という気持ち自体を、なくしたほうがいいとは思っていません。
ただ、その思いをどこまで仕事に上乗せするかは、自分で選ぶこともできたのだと思います。
皆さんの中にも、もしかすると、
「資料を頼まれると、必要以上にレイアウトまで凝る」
「メール一本でも何度も読み直す」
「企画書を“提出できる状態”からさらに磨いてしまう」
「頼まれていない補足資料まで作る」といった仕事の仕方をしている方がいらっしゃるかもしれません。
その丁寧さが、仕事の成果にどれほどつながるのかは、仕事の内容や状況によっても違うでしょう。
でも一度、時間配分という観点から、「もっと良くしたい」という気持ちにどこまで時間をかけるのか、立ち止まって考えてみてもいいかもしれません。
もしくは、「同じことを伝えるなら、もう少し時間をかけずにできる方法はないか」と考えてみるのも一つの選択肢です。
次回は、「自分なりに頑張っているのに、なぜか仕事がうまく回らない」と感じるときに、何が起きているのかを、さらに掘り下げて考えてみたいと思います。
【著者:佐藤真理子】
公認心理師。
私のミッションは、自己理解と他者理解を促し、幸せな人生を送る人を増やすこと。
一人で抱え込みそうなときは、ぜひカウンセリングをご利用ください。
このブログでも、少しずつ「心をほどくヒント」をお届けしていきます。
[カウンセリングのHPはこちら] https://seraphyroom.com




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