がんばる力をなくさずに、長く働くための4つの話③

第3回:頑張っているのに、なぜうまく回らない?
このシリーズでは、第1回で、「仕事の条件や特徴」「個人の傾向性」を見ることで、「仕事が遅い=能力が低い」と単純に結びつけることはできない、ということを説明しました。
第2回では、個人の傾向の一例として、熱意や丁寧さが仕事にかける時間を増やす場合について整理しました。
今回は、第1回の内容をさらに深めて、仕事をがんばっているのにつらさを感じている読者の方が、今どのような状況にあるのか、「仕事の条件の組み合わせ」について、確認していただくところから始めたいと思います。
たとえば、こんな組み合わせにおかれていることはありませんか?
A「慣れていない仕事 × 複雑な業務 × 質問しにくい職場」
B「丁寧に作り込む傾向 × 裁量が大きい × 締切が曖昧」
C「人との調整が苦手 × 調整業務が多い × サポートが少ない」
D「中断に弱い × 電話や問い合わせが多い環境」
E「好きで頑張れる × そもそもの仕事量が多すぎる」
F「見通しが立たない × 繁忙期が長い × 「自分の役割は自分でやる」という思い込み」
もちろん、このまま当てはまる必要はありません。自分の場合は何と何が重なっているのか、組み替えて考えてみてください。
自分が今、仕事に感じている違和感やつらさの正体が少し明確になってきたでしょうか。
それでは、その困り感を「変えられるかどうか」少し視野を広げて考えてみませんか?
例えば、次の4つの視点から考えてみるとどうでしょうか?
① 自分で比較的変えやすいこと
② 周囲の協力や交渉があれば変えられること
③ 自分一人では変えるのが難しいこと
④ 今すぐは変えられなくても、長期的には選択肢があること
先ほどの組み合わせを一つずつ見ながら、これらの視点を当てはめてみてください。
例えば、次のように考えることができるかもしれません。
「慣れていない」→経験を積めば変わるかもしれない。メモを取るなど工夫したり、教えてもらえる仕組みを作れるかもしれない。
(① 自分で比較的変えやすいこと② 周囲の協力や交渉があれば変えられること)
「業務が複雑」→仕事そのものは変えられなくても、分担や量について、相談できるかもしれない。
(② 周囲の協力や交渉があれば変えられること)
「質問しにくい」→自分から質問方法を工夫する余地はあるかもしれない。でも、職場文化そのものは一人では変えにくい。
(③ 自分一人では変えるのが難しいこと)
「調整業務が多い」→経験を重ねることで、相手との折衝や段取りのコツを掴める可能性がある。
(④ 今すぐは変えられなくても、長期的には選択肢があること)
「見通しが立たない」→全体を把握している上司や先輩に、今後の仕事の流れや繁忙期の目安を教えてもらう。
(② 周囲の協力や交渉があれば変えられること)
このように考えていくと、自分が「手を入れられるところ」が見えてきませんか?
ただ「我慢すること=がんばること」になっていた状態から、一歩抜け出すヒントが掴めたでしょうか?
「自分でやらなければ」と思い込んでいた仕事も、相談してみれば助けてもらえるかもしれません。
「いつまでこの状態が続くのだろう」と思っていた仕事も、繁忙期の終わりが分かれば、少し見通しを持てるかもしれません。
事情を伝えることで、思いがけずサポートにつながることもあります。
それだけでも、少し希望が見えてくることがあります。
なかには、「ここまで考えてもどうにもならない」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
それは個人の工夫では届かない問題なのかもしれません。
また、変えられる可能性があるとしても、とても高い負荷がかかる場合もありますよね。
例えば、なんとかその環境に適応できたとしても、
「毎日ものすごく注意し続ければできる」
「ずっと自分を抑え続ければ適応できる」
という状態だと、長く続けるのは難しいかもしれません。
「できる」という事実だけで、その働き方が自分に合っているとは限りません。
「できるか」だけではなく、「そのやり方を続けられるか」まで考える必要があります。
「がんばればできる」と「その働き方を長く続けられる」は、同じではありません。
次回、最終回では、「がんばることと、折れることをセットにしない」方法について、お話していきたいと思います。
【著者:佐藤真理子】
公認心理師。
私のミッションは、自己理解と他者理解を促し、幸せな人生を送る人を増やすこと。
一人で抱え込みそうなときは、ぜひカウンセリングをご利用ください。
このブログでも、少しずつ「心をほどくヒント」をお届けしていきます。
[カウンセリングのHPはこちら] https://seraphyroom.com




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