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カウンセリングの「50分」は短い?|〜カウンセリングの窓から②〜

執筆者の写真: seraphyroom
seraphyroom
7月30日
読了時間: 6分

更新日:7月30日


このシリーズでは、長年カウンセリングをしてきた経験から感じたことをお話していこうと思います。

※事例が出てくるお話は、実際のカウンセリングで感じたことを元にして作ったフィクションです。



皆さんは「カウンセリング」と聞いて、1回のセッションがどのくらいの時間で行われるイメージを持っていますか?


実は、日本国内だけでなく世界中を見渡しても、カウンセリングの多くは「1回50分」と設定されています。


病院でも、民間のカウンセリングルームでも、この「50分」という数字は一種の業界スタンダードになっています。


友人との相談やおしゃべりは、時に時間がダラダラと長引いて疲れてしまったり、話しすぎて後悔したりすることがありますよね。


カウンセリングが時間を厳格に区切るのは、そんな『話しすぎによる心の疲れ』からあなたを守るための防護服のような役割を持っています。ルールがあるからこそ、心理的な安全が守られるのです。


でも、カウンセリングを受けたことがある方、あるいはこれから受けようと考えている方の中には、こんな風に思ったことがある人もいるのではないでしょうか。


「50分って、じっくり話すにはちょっと短すぎない?」


今回は、なぜカウンセリングが50分に設定されているのかという背景を紐解きながら、私自身の経験を通じて見えてきた「本当に心地よいカウンセリングの時間」についてお話ししたいと思います。



なぜカウンセリングは「1回50分」なのか?


まず、なぜ世界中で「50分」という中途半端な時間が選ばれているのか、その理由を少しだけご紹介します。


このルールの生みの親は、心理学の歴史で必ず名前が登場する精神分析の創始者、ジークムント・フロイトです。


彼が19世紀末に治療を始めた際、1時間を「50分の面接」と「10分の休憩・準備時間」に分けたことが全ての始まりだと言われています。


カウンセラーが次の相談者さまを迎えるために心を整えたり、カルテを整理したりする実務的な知恵から生まれた時間だったのですね。


また、心理学的にも「人間が深い悩みに集中して向き合える限界が50分程度である」とか、「時間が長すぎると感情が溢れすぎて日常生活に戻りにくくなる」といった理由から、この50分という枠組み(フレーム)は、現在も効果的で安全な基準として守られ続けています。



私の相談者(受け手)としての実感:50分は「話すのがやっと」だった


歴史的な根拠は分かりましたが、実際にカウンセリングを受ける側の「体感」としてはどうでしょうか。


実は私自身、カウンセリングを学んでいる間、受ける側(クライエント)としてカウンセリングルームに通っていた時期があります。


その時のリアルな実感は、「50分では、今までのいきさつや、気持ちを話すだけで、あっという間に時間が過ぎてしまう」ということでした。


一生懸命に自分の状況を説明し、やっと本質的なテーマや核心に触れられたと思った頃には、もう残り時間が数分しかありません。


カウンセラーからのフィードバックや整理を聴く時間はほんのわずかで、どこか不完全燃焼のまま、有無を言わせず席を立たなければならないことに、少し物足りなさを感じていたのです。


その後、別のカウンセラーから心理療法なども交えた「80分から90分」という長めのセッションを経験する機会がありました。

この時、初めて「あ、これならちょうどいい」と心から納得できたのです。



カウンセラーとしての発見:1時間を過ぎた時に「景色」が変わる


今度は私がカウンセラーとして相談者さまをお迎えするようになってからの感覚をお伝えします。


私自身がカウンセリングを行う時も、やはり「90分」という時間設定が一番しっくりくると感じています。


90分のセッションを行っていると、とても興味深い心の動きが見えてきます。


最初の1時間は、相談者さまが今抱えている苦しみや、過去の出来事を丁寧に吐き出す「カタルシス(感情の発散)」の時間になります。

ここを急がずに、じっくりとお話を聴いていきます。


そして、時計の針が1時間を過ぎたあたりで、セッションの空気がふっと変わる瞬間が訪れるのです。


それまでは辛い過去や現状に意識が向いていた相談者さまが、1時間を過ぎた頃から自然と「じゃあ、これからどうしていこうか」「明日はこれを試してみようかな」と、未来や今後のことに向けて気持ちを切り替え始めます。


感情を出し切ったからこそ、脳に新しいスペースが生まれ、建設的な思考へとシフトしていく。


この「心の切り替わり」を安全に、そして丁寧にサポートするためには、“私にとって”90分という時間がベストだったのです。



無料相談で見つけた、人間の「気がすむ」自律力


ここまでの話だと、「じゃあ時間は長ければ長いほどいいの?」と思われるかもしれません。

しかし、話はそう単純ではないところが、人間の心の面白いところです。


以前、私は時間の制限を厳密に設けていない電話相談員として、複数の機関で働いていたことがありました。

時間を決めていないので、人によっては30分で終わることもあれば、2時間以上になることもあるだろうと思っていました。


しかし、何度もかけてくださるリピーターの相談者さまを観察していると、ある面白い共通点に気がついたのです。


それは、「同じ人は、毎回だいたい同じくらいの時間で電話を切る」ということでした。


今回は30分、次回は2時間、ということはほとんどありません。


ある人は毎回45分、ある人は毎回70分というように、その人なりの「満足する時間」が不思議と固定されていたのです。

それは、相談員が変わってもほぼ変わることはありませんでした。


時計を見ているわけではないのに、自分の心の中にある「気がすむタンク」がいっぱいになると、自然と会話を終える方向に進んでいきます。


人間には、自分に必要な時間、心地よい時間を本能的に察知して、自律的にコントロールする力が備わっているのだと確信した出来事でした。



あなたにとっての「心地よい時間」を選ぼう


心理療法の歴史が作った「50分」という時間には、確かな理由があります。


しかし、それがすべての人、すべての相談内容に完璧にフィットするわけではありません。


50分でテンポよく課題を整理したい人もいれば、私のように90分かけて感情の整理から未来への作戦会議までじっくり行いたい人もいます。


また、その日の体調や料金との兼ね合いもあるでしょう。


もし、これからカウンセリングを利用される方、あるいは今受けていて「物足りないな」と感じている方がいれば、ぜひこのことを覚えておいてください。


「自分に合ったセッションの時間を選択すること」も、カウンセリングを上手に利用し、自分を大切にするための重要なポイントになります。


当ルームのように、メニューの中に時間の選択肢(60分コース、90分コースなど)を用意しているカウンセラーも増えています。


「話す側」であるあなた自身が、最も心地よく、安全に心をひらける時間を、ぜひ選んでみてくださいね。


 

【著者:佐藤真理子】


公認心理師。


私のミッションは、自己理解と他者理解を促し、幸せな人生を送る人を増やすこと。


一人で抱え込みそうなときは、ぜひカウンセリングをご利用ください。


このブログでも、少しずつ「心をほどくヒント」をお届けしていきます。


[カウンセリングのHPはこちら] https://seraphyroom.com


 
 
 

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