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言葉が喉まで出ているのに!「TOT現象」から脳を緩める心の習慣

  • 執筆者の写真: seraphyroom
    seraphyroom
  • 1 日前
  • 読了時間: 6分

「ほら、あの、最近ドラマに出ているあの俳優さん……あーっ、顔はしっかり浮かんでいるのに、名前がどうしても出てこない!」


「昨日食べたおいしいお店の話をしたいのに、『あの、あそこにある、白い看板の……』と、単語が出てこなくて会話が止まってしまう」

 

最近、こんな経験はありませんか?


私は結構前から、このようなことが多く起きるようになりました。


私と同じように「もしかして、認知症の始まりかしら……」と、ひとりで不安を抱え、胸を痛めている方もいらっしゃるかもしれませんので、このことについて書きたいと思います。

 

その「あーっ、イメージは浮かぶのに!」というもどかしい体験は、実はあなたの脳が正常に、そしてとても一生懸命に働いている証拠のようです。

 

今日は、公認心理師の視点から、記憶の仕組みと、不安を安心に変えるヒントをお届けします。

 


言葉が出てこない時、脳の中はどうなっている?「記憶の3ステップ」

 

私たちが何かを「覚えている」とき、脳の中では次の3つのステップが順番に行われています。

  1. 記銘(きめい):新しい情報を頭に「入力」する

  2. 保持(ほじ):その情報を脳の引き出しに「保存」する

  3. 想起(そうき):必要なときに引き出しから「出力(引き出す)」する

 

「顔やイメージは浮かぶのに、名前の単語だけが出てこない」というとき、脳の中はどうなっていると思いますか?


実は、ステップ1の「記銘(入力)」も、ステップ2の「保持(保存)」も、完全に成功しているのです。

あなたの脳の引き出しには、ちゃんとその情報がしまわれています。

 

ただ、ステップ3の「想起(引き出す力)」のところで、引き出しの鍵がちょっと引っかかったり、中身が多すぎて見つけるのに時間がかかったりしているだけなのです。

 

心理学では、この状態を「TOT現象(Tip of the Tongue / 舌先現象)」と呼びます。

 

「喉まで出かかっているのに!」という状態のことです。これは脳が活発に「検索機能」を使っているサインであり、脳の病気ではありません。

 


記憶の仕組みを、最新のスマートフォンに例えてみましょう。

 

スマホを使い始めたばかりの頃(若い頃の脳)は、写真やアプリが少ないので、お目当てのものを一瞬で見つけられますよね。


でも、何年も同じスマホを大切に使い続けていると、思い出の写真や便利なアプリがどんどん溜まっていきます。

 

すると、いざ「あの写真を見せたい」と思ったときに、スクロールしてもなかなか見つからず、「あれ?どこに保存したっけ?」と探す時間がかかりますよね。

 

あなたの脳で起きているのも、これと同じです。


スマホの性能が落ちたのではなく、「思い出(データ)がたくさん詰まりすぎていて、見つけるのに少し時間がかかっているだけ」

 

そう考えると、少しだけ愛おしい、素敵なことだと思いませんか?

 


認知症の「忘れる」と、年齢による「思い出せない」の決定的な違い

 

では、多くの方が一番不安に思う「認知症の始まりではないか?」という疑問について、境界線をお話しします。

 

年齢を重ねることによる「言葉が出てこない(思い出せない)」状態と、「認知症」によるものとでは、決定的な違いがあります。

 

それは、「ヒントや時間があれば、自分で思い出せるかどうか」です。

 

  • 年齢による「思い出せない」


    脳の引き出しから出すのに時間がかかっているだけです。数時間後、お風呂に入っているときや、全然違うことをしているときに「あ!〇〇さんだ!」と突然思い出せます。


    また、「ほら、あの刑事ドラマに出ていた人よ」とヒントを出されると、「そうそう、〇〇さん!」と分かります。つまり、記憶のデータ自体は消えていません。

 

  • 認知症による「忘れる」


    記憶の引き出しそのもの、あるいはステップ1の「記銘(入力)」自体に難しさが生じています。そのため、ヒントを出されてもピンとこなかったり、昨日だれと会ったかという「体験そのもの」を丸ごと忘れてしまったりすることが特徴です。

 

 

「名前が出てこなくて悔しい、不安だ」と感じられていること自体が、客観的に自分を見つめられている(脳の機能がしっかり働いている)何よりの証拠なのです。

 


なぜ年齢とともに「言葉を引き出す力」がゆっくりになるの?


年齢を重ねると、なぜ「想起(引き出す力)」に時間がかかるようになるのでしょうか。理由は大きく2つあります。

 

  1. 脳のハードディスクが「経験と知識」で満タンだから


    若い頃に比べて、あなたはこれまでたくさんの人に出会い、たくさんの言葉を学び、豊かな人生経験を積んできました。


    脳の引き出しの中身が圧倒的に多いのです。膨大なデータの中から1つの単語を探すのですから、若い頃より多少の時間がかかるのは当然のこと。


    それだけあなたが豊かに生きてきた証拠です。

 

  1. 「焦り」と「緊張」が引き出しをロックしてしまうから


    「早く思い出さなきゃ」「認知症だったらどうしよう」という不安や焦りは、脳に強いストレス(緊張)を与えます。


    脳はリラックスしているときほど検索機能がスムーズに働きます。焦れば焦るほど、引き出しが固く閉ざされてしまうのです。

 


脳の引き出しを緩める「まぁいいか」ワーク

 

言葉が出てこなくなったとき、不安のスパイラルから抜け出し、脳の検索機能をスムーズにするための簡単な心の習慣を提案させてください。

 

単語が出てこなくなったら、ギュッと力を入れて思い出し続けようとせず、一度こう呟いてみてください。


「まぁいいか、そのうち脳が勝手に見つけてくれるよね」


そして、考えるのをやめて、深呼吸をしたり、温かいお茶を飲んだりして、全く別の行動を始めてみてください。


脳の検索機能は、あなたが意識するのをやめた後も、裏側で健気に働き続けてくれています。リラックスして脳の緊張がほぐれた瞬間、ポロッと「あ、思い出した!」と単語が返ってくるはずです。

 


あなたの脳は、今日もあなたのために頑張っています

 

言葉がすっと出てこないと、もどかしくて、ちょっぴり情けない気持ちになることもあるかもしれません。

でも、どうか自分を責めたり、怖がったりしないでくださいね。

 

それは、あなたの脳がこれまでの長い人生で集めてきた「大切な宝物(記憶)」を、一生懸命に整理し、探してくれている最中なのです。

 

「私の脳、今日もたくさんの記憶の中から探してくれてありがとう」

そんな風に、頑張っているご自身の脳を優しく労ってあげてください。

 

あなたの毎日の安心を、応援しています。




【著者:佐藤真理子】


公認心理師。


私のミッションは、自己理解と他者理解を促し、幸せな人生を送る人を増やすこと。


一人で抱え込みそうなときは、ぜひカウンセリングをご利用ください。


このブログでも、少しずつ「心をほどくヒント」をお届けしていきます。


[カウンセリングのHPはこちら] https://seraphyroom.com



 
 
 

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