震災から2週間、「心のケア」について私たちができること ~災害ケア①~
- seraphyroom
- 2 日前
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大きな地震の発生から2週間が経過しました。
被災地では今も厳しい状況が続いており、胸を痛めている方も多いのではないでしょうか。
この時期は、避難生活の長期化や生活再建への不安から、心身の疲労がどっと噴き出しやすいタイミングです。
「自分にできる心理的な支援はないだろうか」と、周囲の人の気持ちが気になり始めている方も少なくないと思います。
特に普段からさまざまな立場で「聴き手」として活動されている方は、なおさらその想いが強いかもしれません。
今回は、災害時における専門チームの動きに触れながら、私たちが身近な被災者や家族・子どもたちとどう接していけばよいのか、災害心理学の視点からお話しします。
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災害時に動く2つの医療チーム:DMATとDPAT
災害が発生した直後、まずニュースなどで耳にするのがDMAT(ディーマット/災害派遣医療チーム)です。
国や都道府県の要請によって発災直後の「急性期(概ね48時間以内)」にスピーディに派遣され、命を救うための救命医療や広域搬送を行います。
そして、DMATに続いて派遣されるのが、精神医療と心のケアに特化したDPAT(ディーパット/災害派遣精神医療チーム)です。こちらも都道府県などの要請によって組織され、被災地に入ります。
「心のケアのチーム」と聞くと、カウンセラーが被災者の話を優しく聴いている姿を想像するかもしれません。しかし、災害初期のDPATの役割は、一般にイメージされる心理カウンセリングとは少し異なります。
まず最優先されるのは、「安全の確保」と「精神医療の継続」です。激しい精神的ショックで混乱している方の安全を守ること、そして持病の精神疾患がある方の薬を絶やさないための支援など、いわば「心の救急救命」を行います。
その上で、もし早急に心理的ケアが必要な方に出会った場合は、無理にトラウマを暴くのではなく、まずはお困りごとを「傾聴」します。
「お水や物資は足りていますか?」「手続きで困っていることはありませんか?」といった、現実的な支援の必要性を聴き出し、適切な窓口へ繋ぐことも、DPATの大切な役割なのです。
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発災2週間目:張り詰めた糸が切れるとき
実は、発災から2週間が経った今の時期は、それまで生き延びるために緊張状態を続けていた(過覚醒状態にあった)心の糸がプツリと切れ、どっと強い疲れや無気力、落ち込み(抑うつ状態)が出やすいタイミングです。
これは「震災関連死」の分岐点とも言われる時期ですが、この時期の落ち込みは、心が回復に向かうための「心身のエネルギー切れ」のサインでもあります。いわば、身体が強制的に休息モードに入ろうとしている状態です。
だからこそ、この時期の関わりには慎重さが求められます。
良かれと思って「何があったの?」「辛かったね」と詳しく聴き出そうとする行為は、専門用語で「心理的デブリーフィング」と呼ばれ、現在ではかえってトラウマを悪化させるリスクがあるとして、災害初期には避けるべきだとされています。
心がまだ激しく傷ついているときに、当時の状況を細部まで詳細に語らせることは、脳内で「トラウマの再体験」を引き起こし、恐怖や無力感を強化してしまう恐れがあるからです。
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生活が落ち着いた頃(発災後1ヶ月〜)の接し方とPFA
2週間目の今を経て、やがて生活が少しずつ落ち着き始めた頃(目安として1ヶ月〜数ヶ月)からは、周囲の継続的な関わりがより重要になる時期です。
この時期に大切なのは、「本人が自然と語り出すのを待つ(語りたくない権利を守る)」という鉄則です。
もし相手から当時のことを語られた場合も、事実(トラウマとなった過去の事象の細部)に深く踏み込みすぎないよう注意しましょう。
いま現在感じている安心感や、困りごとなどの「現実的なニーズ」に焦点を当てて話を聴くことが推奨されます。
これらは、世界的な標準となっている災害時の心理的初期対応「PFA(サイコロジカル・ファーストエイド)」の基本でもあります。
話を聴いてもらってその場では「すっきりした」と思っても、あとから「あんなに話すのではなかった」と激しい後悔や自己嫌悪に繋がることがあります。
身近な人や傾聴ボランティアとして関わる際は、話したくないときは沈黙を共有できるような、「ほどよい距離感」を意識してください。
でも、聴き手としては、これでいいのだろうか、と悩むこともありますよね。
「話したいことは、なんでも話してくださいね。でも、話したくないことは無理に話さなくていいですよ」
「話したくなったらいつでも声をかけてくださいね」といった声掛けをして、安心感を伝えることが、結果として一番のサポートになります。
▼ この時期、周りの私たちが意識したい3つのポイント
1. 無理に話を聞き出さない(語りたくない権利を守る)
2. 「過去の事実」ではなく「いま困っていること」に焦点を当てる
3. 「いつでも聴くよ」と伝え、無理に沈黙を埋めようとしない
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子どもたちの「地震ごっこ」は心の自浄作用
また、小さなお子さんがいるご家庭から、「子どもが震災直後から『地震ごっこ』や『津波ごっこ』をして不謹慎で困る、やめさせたい」という相談を受けることがあります。
家具を揺らしたり、津波が来たと叫んで逃げ回ったりする姿を見ると、大人は胸が締め付けられますよね。
しかし、これは災害心理学において「ポストトラウマティック・プレイ(外傷後遊戯)」と呼ばれる、子ども特有の正常な回復プロセスです。
言葉で自分の恐怖やストレスを十分に表現できない子どもたちは、遊びの中でわざと恐怖の場面を再現し、それを自分でコントロール(擬似体験)することで、傷ついた心を自ら癒そうとしています(自己治療の試み)。
ですから、危険な遊び方をしていない限りは、大人が「不謹慎だからやめなさい!」と無理に禁止する必要はありません。
「怖かったね」「びっくりしたね」と子どもの気持ちを言葉にして受け止めながら、そっと見守ってあげてください。
もし強迫的にずっと繰り返し続けていて心配な場合は、無理に止めるのではなく、「たくさん遊んだね。お茶飲もうか」とスキンシップをとりながら別の遊びに優しく誘ってあげるのがおすすめです。
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おわりに
被災された方の心の回復のペースは人それぞれです。
焦って「早く元気になってもらおう」とするのではなく、相手のペースを尊重し、語りたくない権利を守りながら「ほどよい距離感」で寄り添うこと。
それが、この2週間という節目を越えた今、私たちにできる最も優しい心理支援の第一歩です。
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しかし、このように相手に寄り添い、辛いお話を日々受け止め続けることは、聴き手自身の心にも大きな負担がかかります。
実は、被災地の緊張が解け始めるこの時期は、支援を続ける人たちの「心のリスク」にも目を向けなければならないタイミングです。
そこで次回の記事では、私たち聴き手が陥りやすい「二次受傷(共感疲労)」と、支援者の「バーンアウト(燃え尽き症候群)」についてお話しします。
大切な人を支え続けるために、まずは支援する立場の人を守る方法を、一緒に考えていきましょう。
【著者:佐藤真理子】
公認心理師。
私のミッションは、自己理解と他者理解を促し、幸せな人生を送る人を増やすこと。
一人で抱え込みそうなときは、ぜひカウンセリングをご利用ください。
このブログでも、少しずつ「心をほどくヒント」をお届けしていきます。
[カウンセリングのHPはこちら] https://seraphyroom.com




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